去年末の事。
僕の暮らす1ルームにある備え付けの小型冷蔵庫が壊れて、新しい冷蔵庫がやってきた。
以前の小型冷蔵庫は、ビジネスホテルにあるような小さなものだったので、冷凍室がついていなかった。
だから僕は冷凍食品とは無縁の生活を何年も送っていた。
だが壊れかけた時、その冷蔵庫は全ての冷蔵食品を中途半端に半冷凍にする機能に目覚め(故障)、なかに入れている食料はあっという間に壊滅。
ついに冷蔵庫を取り替える決断をした。
大家さんに冷蔵庫が壊れたことを相談すると、新しい冷蔵庫を快く購入してくれるという。
サイズを訊くと、これまでの物より1.5まわりは大きくなり、冷凍室がついているものを買ってくれるとのことだった。
それがとても嬉しかった。
(冷凍食品を買ってきて、すぐに食べなきゃいけない呪縛から解き放たれるって事…?!)
冷蔵庫が届くや否や、“興奮してきたな“とばかりにすぐに近くのコンビニへ行って、冷凍食品を大量に購入し冷凍庫がいっぱいになるくらい詰め込んだ。
冷凍庫のある暮らし。
人生変わったと本気で思った。←
それから数ヶ月後。
気がつけば冷凍食品の恩恵に預かり、冷凍チャーハンなどよく食べていた。
アイスだって買って帰ってから、焦って食べる暮らしとは無縁だ。手をゆっくり洗ってアイスを食べる準備をして※膝の上に乗せたシャム猫をひと撫でしてからゆっくり食べてやる余裕がある。
(※イメージです)
そんなある夜、眠る時。
僕は最近空気清浄機など音の出るものはなるべく止めて、程よい無音状態を作り眠るようにしている。
そしてある事に気がついた。
部屋のどこかから、ズズズズズとかピチャピチャとか、ゼリーが跳ねるようななんとも言えない不気味な電気音らしきものが聞こえてくる。
(え、こんな音これまで聞こえなかったけど…?)
そして気がついた。新しい冷蔵庫が夜中の業務をこなすが如く小刻みに揺れていたのだった。
ズズズズズ…ピチャピチャ…
僕「…。」
あの時、人生変わったと本気で思った。
僕は冷凍庫のある暮らしを手に入れた。
しかし、夜眠る時の静寂を失ったんだ。
1ルームの切なさよ。