先日、お腹を壊して正露丸を買った。
この薬はこれまで何故か滅多に飲んだことがなかったので、強いニオイを発するものだとは知らずにいた。
先日人とお茶をしているとき、お腹を壊して、たまたまお相手が正露丸をお持ちだったので、ありがたく頂くことに。
「すごく臭いので一気に飲み込まないと大変なことになりますよ！」
とその人から助言をもらった。厳重に密封された袋から取り出されたそれを手に取ると確かに、半端なく病院の香りを醸している。
一気に飲み込み、水で流し込んだけど、手には濃厚な正露丸の香りが…。
確かにすごいにおいだ！ほんの数秒手のひらにとっただけなのに…。
…実は僕はこの臭いは嫌いではない。むしろ好きだ。
病院の診察室の想い出を濃縮して抽出したようなこの香りは、なんだか懐かしく、子供の頃、風邪を引いては親に病院に連れられていったあの日々を思い出すわけです。
手についた正露丸の香りは悪くない気分だった。
さて、そんな僕が人から
立野さんの弱点はなんですか？
と聞かれたら、間違いなく
「お腹がヨワイことです。」
と答えるだろう。それくらいスキマ風に対してあまりに脆弱な僕のお腹のために、正露丸を購入することとなった。
このお腹にとって、強力な相棒を味方につけ、意気揚々と帰宅したのが10日前。
それは買った翌日の事だった。
部屋のどこかからうっすらと病院の香りっぽいのがするので「あれ、なんだろう？湿布でもあったっけ」と不思議に思っていたけど、翌々日には、うっすらした香りは完全に病院の香りになった。
おいこれ開けてもいない正露丸からメチャメチャニオイ漏れてるよ…!!
正露丸ってすごいんだな！強力な相棒たる力の一端を垣間見た気がして、僕は浮かれていた。
しかし、それから日に日に正露丸は僕の部屋で存在感を増し続けている。
開封さえしていない正露丸からは確実ににおいが漏れ続けているんだ。
最初こそ、部屋が病院の香りになった(*^^*)と微妙に楽しかったけど、これはやり過ぎだ。
もはやそこには相棒関係はなく、支配されている。
もうこんな正露丸とは距離を置こうと思って、蓋付きの棚の奥にしまった。
しかしすぐにまた支配されてしまう。
今では百草の立野邸は扉を開けると完全にケミカルな香りに包まれている。
わかったよ、もうやめてよ正露丸！
ニオイを打ち消そうとムスクの香りとかアロマ炊いてるけど、
なんかケミッたムスクって感じになってきた…頭がクラクラするぞ…
…
……
正露丸は日露戦争の時に日本軍がロシアに遠征に行ったときに、寒くてお腹を壊さないように携帯していた胃腸薬なんだ、『征露丸』さ
昔、授業中歴史の先生が豆知識的に教えてくれたっけ…
…先生、征服されたのは立野だったようです。
正立丸
なんか別の薬みたい。
密封する袋が見当たらないので、とりあえずここに入ってもらった。
ここも長くは持つまい…
つづく‼